ひとつぶろぐ

長野県南佐久郡佐久穂町(旧八千穂村)、有機野菜の「ひとつぶ農園」のブログ。

ひとつぶ便り 191号(お米と菌と人間と)

今日もお越しいただきありがとうございます!先週のひとつぶ便りです。どうぞ。

ひとつぶ便り191号(2014年11月14日便)
 いつもありがとうございます。毎朝畑は凍るようになってきていますが、昼間は晴れれば結構暖かいです。1月、2月の寒さはまだまだ想像できないししたくありませんが(笑)、まだまだへっちゃらな寒さです。僕がこの町に来て今季で6回目の冬。体も気持ちも慣れた部分はかなりあると思います。
 畑が凍てついて融けなくなるまでもう少し。色々と取り入れしなくてはいけないものがあり、僕が酒蔵に毎日出勤していてなかなか農作業できないのでゆっこさんがいつも以上にがんばってくれています。大豆の脱穀や野菜の種取りなど、他にも色々とやらなくてはいけないことがあります。本格的な冬はもうすぐ!というところで今朝、ハウスのビニールが破けてひどいことになってる!まぁ~!

お米と菌と人間と

 僕は基本的に毎日、冬の仕事、お酒造りに酒蔵へ出勤中。去年よりもだいぶ分かることが増えて、去年と比べて格段に楽しい。僕は「釜場」とか「釜屋」とか呼ばれる持ち場にいて、お米を洗ったり蒸したりするのが主な仕事。毎朝お米を蒸し、昼頃からはお米を洗い、という日々。お米を洗うとかいうとまぁ手でたくさんお米を洗うのをイメージするかもしれませんが、機械で洗います。一袋30キロのお米を機械に入れていくのは、人間。多い時には2トンとか3トンのお米を一日に洗います。そしてその翌日、そのお米を蒸します。毎日毎日その連続、って感じ。色々な種類のお酒があるのでお米の種類が違ったり、量が違ったり、色々です。去年はこの時期なんて特に、全く全体の流れがつかめていませんでしたが、今年はだいぶ分かるので、全然見え方が違います。蒸したお米と、麹と、酵母があればお酒はできます。という基本的な話も去年はよくわかっていませんでした。
 なんというか、お酒造りの現場は、「大きい台所」みたいなものです。お米を蒸す、米に麹菌をつけて麹をつくる、それらを容器に入れてかき混ぜる、なんてことは全部、台所でできることで、それを一つ一つ大量に、大きな道具でやる、というだけのこと。台所ではしゃもじを使うところで、酒蔵ではスコップを使います。最近、自分たちが「台所で働く小人たち」だというイメージが浮かんだりします(笑)。
一つ書いておかなければいけないと思うことは、お酒を造るためには物凄く多くの量のお米を使うということ。現代人はお米一俵、60キロくらいあれば1年間食べられるそうですが、例えば2トンのお米は33人くらいが1年食べられる量。そんな量を一日毎、使っていくわけです。いちばん小さい規模ではありませんが、それほど大きくもない酒蔵の話で。先進国の人間がお酒を少し控えるだけで、世界から飢餓は無くなる、という話を聞いたことがありますが、こうしてお酒造りに携わっていると、実感としてわかります。今僕は、お酒が売れなきゃ困る立場の人間ですが、どうかお酒を飲むときは、それが貴重な穀物から作られたものだということを少しでも意識に置いて、飲む量を減らしたり大切にお飲みください。

 お酒造りをしていると、菌たちともっと遊びたいなという思いも湧きます。具体的には麹をもっと生活に取り入れていきたいなとか、思います。ということで最近色々やっています。甘酒作ったり、酒まんじゅうを作ったり。夜準備して、早朝にやる、みたいな感じのことが多いので、酒蔵に出勤前にお米を蒸して、酒蔵に出勤してからもお米を蒸している日とか最近結構あります(笑)。
ここ1年半ぐらい、日常的に、パン酵母とは親しんでいます。パンは2日に1回くらいのペースで焼いていて、これに使っている酵母は、最初は小麦と水をスプーン一杯ずつこねて、少しずつ量を増やし、空気中の酵母が着くのを待って、1か月くらいかけてゆっくり育てていったもの。今は前のパン生地の一部をとっておいて、次のパン生地に入れる、という形でかけ継いでいますが、酵母を起こした初めから液状ではなくパン生地の状態です。林弘子さんという今は亡き、非常におもしろいおばさんが、やってみたらできた、っていうやり方で、僕はそれを参考にしています。林さんはちなみに若い頃から漬け物作ったり梅干し作ったりすることが大好きで、自分で試行錯誤しながら発酵などに独自の深め方をしている人。僕は本でしか彼女の存在を知りませんが、台所での体を張った彼女の「実験」とそこからの理解は、すごく参考になります。彼女の本はどの本もただのレシピ本ではなく、エッセイ集みたいな感じ。発酵も大好きだけど、ものを書くのも大好きだったようです。やっていることそのものも文章もおもしろいのでパン作りとか漬け物とか味噌とか発酵食色々、興味ある人はおススメです。林弘子さん。
 ちょっと話が逸れましたが最近は麹とも戯れています。これを書いている今、酒まんじゅうを蒸しています。生地は僕担当、餡はゆっこさん担当で初めて作りましたが、これ完全にパンですね。パン以外の何物でもありません。酒まんじゅうの存在は知っていましたが、日本にも昔から発酵パンあったんだなぁと、作ってみて改めて思います。蒸したお米と麹と水を混ぜておいて、ぶくぶくしてきたらそれと小麦粉を混ぜて、生地を作って、餡を入れて、蒸す。酒まんじゅう=天然酵母蒸しパン。蒸すのではなく焼いたらふつうのあんパンですこれ。実際、酒種で色んなパン焼いてる知り合いもいます。そして昔から、蒸すのではなく、いろりの灰の中とかほうろくなどで焼いていた人もいたと思う。お焼きっぽく。とか言って今ちょっとだけ調べたら木村屋が作って明治時代にヒットしたあんパン、まさに酒まんじゅうを焼いた感じのもので、米と麹を混ぜたもので酵母を育てた酒種使用のものだったそうです。てっきり明治時代の木村屋の木村さんは斬新なアイディアを出してヒットさせたのだとばかり思っていましたが、そうではなく既にあったものを高い質で表現した、という感じですね。どちらにしてもすごいことですが。
 麹とか酵母とか、楽しい世界です。目には見えないものたちと共に、美味しいものの作り方をたくさん発見し、深めてきた先人たち、かっこいいなと思います。もっと、僕も菌たちと仲良くなりたいものです。台所の中の話ではありません。土の中も、菌たちのワンダーランドです。

今週の野菜
 人参とか白菜とかカブとかジャガイモとか、色々な野菜をいれて、ゆっこさんが作るシチューが最高に美味しいです。この時期の野菜もまた、どれも味がのっていて、美味しいなと感じます。
 どんな野菜も、ものすごく長い時間の中、つながってきた種の歴史の延長にいます。まずきっと、人は食べられる草を選び、その中で美味しい草を選び、種を育てていってその結果、今のように美味しく食べられる野菜があります。とても楽しいので、時々、植物と人の関わりの歴史に思いを馳せ、感じてみてください。食べ物と僕らの出会いもまた、奇跡と呼ぶほかありません。どんな人も、動物も、植物も、長い長い歴史の中で、つながってきたものたち。そのつながりの中にいないものは、何もありません。   健
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